空へ、海へ、彼方へ ─旅するルイ・ヴィトン展 「Volez, Voguez, Voyagez – Louis Vuitton」後篇

みなさま、ごきげんよう。

本日もClassical Princess Japonのホームページをご覧いただき、ありがとうございます。

 

空へ、海へ、彼方へ ─旅するルイ・ヴィトン展 「Volez, Voguez, Voyagez – Louis Vuitton」前篇

のつづきです。

 

船旅を経て、時代は新たな移動手段<自動車>へとシフトしてゆきます。

上の黒いバッグは、「サックプラ」といい、ハンドバッグの原型となったものだそうです。

ハンドバッグはもともと自動車での移動のために生み出されたものだったのですね。

 

また自動車の発達により、ファッションにも新たな潮流が。

こちらのダストコートは20世紀初頭、車の埃よけのために生み出された新たな装いです。

 


酒瓶を持ち運ぶために作られたバッグ「ノエ」。

ノエは私も愛用していましたが、まさかお酒を運ぶ用だったとは。

ちなみに瓶の入れ方は、4本四角く並べて、その真ん中に1本を逆さまにして

入れたそうです。なるほど合理的。

 


そして飛行機の時代に。

厳しい重量制限のある飛行機では、「荷物は軽く」が鉄則。

これは今も同じですね。そのような背景のもと開発されたのが、トランク「マル・エアロ」。

左の広告には、“どんなに詰め込んでも26kg”の謳い文句が。

 

また19世紀後半は鉄道による旅も身近なものとなり、旅行が日常的な行動へと変化してゆきました。

こちらは世界各地のホテルのステッカーで、3代目Gastonのコレクションです。

 

今では考えられませんが、この時代、ホテルのスタッフが宿泊客のトランクに

各ホテルのステッカーをペタペタと貼っていったそうです。

そしてステッカーを貼る位置にも意味があり、貼る位置によって

「ちょっと面倒くさいゲスト」「気前の良いゲスト」…といった様々な意味を持ち、

ホテル間でそのトランクの持ち主がどんな人物なのか、暗号のように伝え合っていたそうです。

 

こちらが実際のトランク(1885年)です。

よーく見てみると、 The Grand Hotel Yokohamaのステッカーが!

グラントホテルは開港後の1873年、横浜に設けられた本格的な洋式のホテルです。

遥かヨーロッパの彼方と横浜が繋がっていた証が、こうした形で残っているのですね。

 


収集家でもあるGastonは、日本の木箱や、刀の鍔(つば)のコレクションも行い、

鍔をモチーフにした鏡(写真右端)を製作しました。

日本の伝統文化の影響を受けていたことが見て取れます。

 


Gustonのトランクコレクションより。

扇子・団扇など、オリエンタルなモチーフが盛り込まれた作品も。

 

そして、日本の展示会ならではの特設コーナー「インスピレーションの国、日本」へ。

枯山水風の展示スペース。日本人デザイナーと製作した作品が展示されています。

 

板垣退助のトランク。縦縞です。

 

展示の終盤には、職人さんによるデモンストレーションコーナー。

ちょうど鞄の持ち手部分を縫う作業(サドルステッチでした)をされていました。

 

ここでやっと会場を一周したことになります。

 

大変中身の濃い展示でしたので、おそらく咀嚼しきれていない部分もあるかと思いますが、

今回ガイドツアーに参加させていただき、日本人に一般的に認識されている「ブランド」としてではない、

ルイ・ヴィトンの側面を見ることができたように思えます。

技術・産業の発展とともに、鞄に求められる機能も変化し、

そして本展示ではその変化を「旅」という切り口から見せることで、

どのようにルイ・ヴィトンの表象が変化してきたかということを直に感じることができます。

 

そこで目にしたのは、特別な「ブランド」としてではなく、その時代を生きた人々に寄りそう存在としての

ルイ・ヴィトンであり、作品のひとつひとつに宿る揺るぎないクラフトマンシップです。

 

しかし時代は常に移り変わるもの。

産業・技術の発展がある種の飽和状態を迎えた時代に、どのようにして“美の基準”を捉え直し、

進化しつづけてゆくのか、ブランドとしての矜持が感じられる空間であったように思います。

機能美から定番となり、今日もなお愛され続けているシリーズがあるのも

時代に即した的確な戦略があってのことでしょう。

そして、ときに遠く異国の「美」への視点を持ち、そのエッセンスを取り入れながら姿を変えてゆく様に

思考のスケールの大きさを感じさせられました。

 

空へ、海へ、彼方へ ─旅するルイ・ヴィトン展 「Volez, Voguez, Voyagez – Louis Vuitton」は、

東京都千代田区の特設会場にて、2016年6月19日(日)まで開催されています。

http://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/heritage-savoir-faire/tokyo-expo#/home